統合Ⅰ:五つの質問を三つの枠組みから読み直す
第7週 · 2026年10月14日(水)· 1限 8:40–9:50 / 2限 9:55–11:05
この問いに、誰が、何の言葉で答えるのか。
| 時刻 | 内容 | 手を動かすこと |
|---|---|---|
| 8:48 | 1 問いを問う:五つの質問をどう受け取るか | 挙手、言い換えカード |
| 9:03 | 2 ドラッカーは教会をどう見たか | 挙手、ペアで3分 |
| 9:23 | 3 神学:世界を管理するとは(創世記・コロサイ) | 聴く、線を引く |
| 9:55 | 4 ケース・ブック①:三つの診断 | 一人10分→班20分→共有 |
| 10:30 | 5 組織論:誰が問いに答えるのか | ケースに当てる |
| 10:42 | 6 第9週プレゼンテーションの説明 | 質問 |
| 10:55 | しずまり・リフレクション | 学びの要点と問い |
| 週 | ドラッカーの質問 | 神学の問い | 組織論で見たもの(例) |
|---|---|---|---|
| 第2週 | われわれのミッションは何か? | Whose mission? 誰の使命か | 公式目標と実際の行動、目標置換 |
| 第3週 | われわれの顧客は誰か? | Customer or neighbor? 顧客か隣人か | 誘因と貢献、限定合理性 |
| 第4週 | 顧客にとっての価値は何か? | Who defines what is good? 善を誰が決めるか | 制度的環境と正統性 |
| 第5週 | われわれにとっての成果は何か? | Success or faithfulness? 成功か忠実か | デカップリング、資源依存 |
| 第6週 | われわれの計画は何か? | 何を握りしめ、何を委ねているか | 文化の慣性力、模倣的同型化 |
| 第7週 | 五つの質問そのものを問う | ||
五つの質問を、どう受け取るか
MA-net「牧師リーダーシップ研修」note, 2025-11-25(山﨑龍一)
提示された五つの質問を、自分が遣わされている責任という文脈の「ことば」に置き換えること。
MA-net「牧師リーダーシップ研修」2025-11-25。研修は3年かけて問いを深めることを目標にしている
「大急ぎでは読まないでいただきたい。『5つの質問』は一見してシンプルである。だが実は、そうではない。繰り返し考えていただきたい。質問と格闘していただきたい。」
P.F.ドラッカー『経営者に贈る5つの質問[第2版]』おわりに「最大の効果を引き出すために」
例:寮の自治会なら「われわれの顧客は誰か?」→「この寮で、声が届いていないのは誰か」
チップをクリックすると1つ消えます
1989年のインタビューと、一人の宣教師
「非営利組織の製品はただ一つ。変えられた人間である。」
All nonprofits have one essential product: a changed human being.
では教会は? 「教会の目的は、教会員の生き方を変え、その価値観を神の価値観へと変えることだと言いたい。」
“Managing to Minister: An Interview with Peter Drucker,” Leadership Journal, Spring 1989(試訳:森田)
「その教会は、本当にシェルター事業をすべきなのだろうか。」
他の団体と同じことをしていて、変えられた人生という成果はゼロかそれに近かった。
「屋根の修理より先に、これが来るのかもしれない。」
生徒の94%はカトリックではない。教区は資金難で、各教会は屋根の修理費を求めている。それでもドラッカーは学校を続けるよう勧めた。
Managing to Minister(1989)試訳。ドラッカーは自分で「私は一貫していない」と言っている
「私は教会関係の組織で活動している友人たちに、行っていることの半分は、実は行っていてはいけないことなのではないかとよく言う。」
それらの仕事が重要でないということではない。もはや自分たちが行うべき仕事ではなくなっている。
『経営者に贈る5つの質問[第2版]』序章「なぜ5つの質問が必要なのか」
「すぐに官僚的になる。人々との接点を失い、効果を失う。」
「すぐに打算的になり、まったくの日和見主義になる。」
「両方が必要だ。」
Managing to Minister(1989)試訳
「人々は神学にひどく退屈している。」
成長している教会は、教理の細部より「この人たちが必要としていて、私たちが提供できるものは何か」を問う。
「この世に楔を打ち込むことができない脆弱な福音理解と神学的思考の再構築が、真の再建につながっていく。」
MA-net「この世に楔を打ち込む神学へ」2026-05-04
「神はすでにガイド、聖霊を与えてくださっているのに、私たちは絶えず神に地図をねだっている。」
We are constantly badgering God for the map when He’s already given us a guide.
ミッション:活動の目的、組織の存在理由。つまるところ、それをもってして憶えられたいこと。
墓碑銘に刻むなら、ただ「ジェムは神とともに歩んだ」とだけ。
ジェマイマ・オーイの講話をまとめた資料より(原動画での文言確認は未了)。ドラッカー『5つの質問』用語の定義
ある団体の予算会議。根拠のない「特別献金」を計上して収支を合わせた。
「特別献金が与えられることを信じることが信仰」
一年後、赤字の現実を引き受けたのは現場のスタッフだった。
MA-net「赤字予算は不信仰なのか?」2025-03-31。2限のケースAとして全文を読む
「諸手を挙げての同意は、何も考えていないことを意味する。」
「意見の違いを大義の対立にしてはならない。問題を避けてはならない。しかし、しこりを残してはならない。」
『経営者に贈る5つの質問[第2版]』序章
創世記1–3章とコロサイ1章
神学の概念が、宗教色を抜かれて経営の概念になる
神学の概念が、ほぼそのままの形で組織の中に残っている
組織で使われるうちに、元の意味が損なわれたり失われたりする
では「ミッション」が教会に戻ってくるとき、どれが起きているか。
Sørensen, Spoelstra, Höpfl & Critchley (2012) “Theology and organization,” Organization 19(3), 267–279(共通教材)
「私達は『こんなこと』のために伝道者になったのではない」
事務管理の問題で臨時の役員会が続くと、こういう声が上がる。山﨑さんは、この「こんなこと」こそ世界管理(文化命令)だと言う。
MA-net「「こんなこと」による世界管理」note, 2025-04-07
働くことと仕えることの語彙が重なっている。だから「Administration is Ministry」と言える余地がある。
神は情報が欲しくて問うのではない。人を応答へ呼び出している
「あなたが与えてくださったこの女が」「蛇が私を惑わしたのです」
MA-net:「知らなかった」のではなく「知ろうとしなかった」ことが多い
MA-net「真に立ち直るために」2025-08-18
「事務も頑張りましょう」という勧めで終わらせない。組織の仕組みに向けて問う。
2限は班で座ります。ケース・ブック①を開いておいてください。
ケース・ブック①:MA-netの記事から
| 時刻 | 分 | すること | 記入シート |
|---|---|---|---|
| 9:56 | 10 | 一人で読む。該当する質問を二つ選び、三つの枠組みで診断する | C-1〜C-3 |
| 10:06 | 20 | 班で比べる。三つの診断が食い違う点を一つ決め、判断とその根拠を書く | C-4〜C-5 |
| 10:26 | 4 | 共有。各班1分強。「食い違い」と「判断の根拠」だけを話す |
本文にない事実は書かない。推測は「推測」と書く。足りない情報は「確かめたいこと」へ。
ヒント:質問4・質問5/序章「建設的な不同意」/ルカ14:28–30(塔を建てる前に費用を計算する)
ヒント:質問1「今行っていることはなぜ行っているのか」/第4週 正統性/第6週 模倣的同型化
ヒント:質問2・質問3(パートナーとしての顧客にとっての価値)/第5週 資源依存
| 何が見えるか(本文の事実) | 何を提案するか | |
|---|---|---|
| ドラッカー | 選んだ質問二つに照らして | |
| 組織論 | 概念を一つ使って | |
| 神学 | 聖書箇所か神学の概念を一つ | |
| 食い違い | 三つの診断が、どこで、どう食い違うか | |
| 判断と根拠 | 私たちはこう判断する。その根拠は何か。そのとき失われるものは何か | |
| 確かめたいこと | 本文からは分からないこと(11月4日の問いの候補) | |
予算はアクション・プランの資金的側面。評価できない目標は計画にならない。
利点:現実の数字に戻れる。課題:「士気」をどう扱うかは言わない
信仰の言葉が、決定を疑えなくする正当化として働いた。代価は決定権のない現場に回った。
利点:誰が払ったかが見える。課題:理事の信仰そのものは評価できない
「信じることが信仰」は、自分を差し出す信仰か、責任を他人に回す信仰か。
利点:言葉の中身を問える。課題:誰がそれを判定するのか
「今行っていることはなぜ行っているのか」。理由がミッションでなく法人格なら、手段が目的になる。
利点:理由を問える。課題:法令は「なぜ」に関係なく守る必要がある
「ちゃんとする」=制度的環境への適合。正統性を得るための模倣かもしれない。
利点:圧力の出どころが見える。課題:適合は悪いことではない
法人の有無にかかわらず誠実であれ(MA-net)。ただし、減価償却や雇用の枠組みが守っているものも吟味する。
利点:動機を問える。課題:技術の規律を軽く扱う危険
寄付者もパートナーとしての顧客。何を価値としているか、本人に聞く。成果を伝える物語は必要。
利点:支える人を大切にできる。課題:「大口」を特別扱いしやすい
資源を握る人は、組織の中で力を持つ。大口への依存は、ミッションの定義権を移す。
利点:依存の危険が見える。課題:財政難への処方は出ない
献金に大口も小口もない。志の重なり。ただし、待遇の問題は祈りだけでは解けない。
利点:献げる人を平等に見る。課題:物語を語ることまで疑う危険
組織論:権力はどこから来るか
公式でない力は、下から上へ、横へ働く。使うと消耗し、補充が要る。
Mary Jo Hatch, Organizations: A Very Short Introduction, Oxford UP, 2011, ch. 4(pp. 72–75)
窓を開けたい人と閉めたい人。強いほうが自分の意思を通す。
半分だけ開ける。どちらの望みも完全には満たされない。
開けたい人が欲しいのは新鮮な空気。閉めたい人が嫌なのは風が直接当たること。隣の部屋の窓を開ける。問題を定義し直すと、両方が望むものを得る。
ドラッカー(1989):「教会はパートナーシップである。会衆の一人ひとりがパートナーであって、株主ではない。」「組織を支配していると信じているCEOは、自分を欺いている。」
Hatch (2011) ch. 4, pp. 79–80/Managing to Minister(1989)試訳
10月28日(水)1–2限
| 枚 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 組織の概要(3行)と、焦点の問い(1文) | 1分 |
| 2 | ドラッカー:五つの質問のうち二つを選び、事実→解釈 | 1分半 |
| 3 | 社会学的組織論:授業で扱った概念を一つ | 1分 |
| 4 | 神学:聖書箇所か神学の概念を一つ(釈義→キリスト→応答) | 1分 |
| 5 | 三つの診断の食い違いと、自分の判断と根拠(今日の表と同じ型) | 1分半 |
| 6 | 提案と残る問い。OCCゲストへの問いを一つ | 1分 |
情報源は各スライドの下に小さく書く。最後に参考文献のスライドを付けてよい(枚数に含めない)。
| 観点 | 配点 | 主に見るスライド |
|---|---|---|
| 対象とする組織およびケーススタディの焦点が明確に設定されている | 4 | 1 |
| 第1〜8週で学んだ内容や概念を適切に活用して分析している | 7 | 2・3・4 |
| 具体的な事例、根拠、データ、異なる視点などを用いて考察している | 5 | 5・情報源 |
| 分析結果や考察が分かりやすく伝えられている | 4 | 全体・時間・質疑 |
評価するのは記述と根拠であって、選んだ組織や信仰の立場ではない。
PBA 太平洋放送協会/オアシスお茶の水店/小さないのちを守る会/JCFN/JEMA 日本福音宣教師団/KGK キリスト者学生会/ハンガーゼロ(JIFH)
社会保険労務士アスリート事務所/行政書士事務所えみたす・大昇不動産/日本福音同盟(JEA)/日本ウィクリフ聖書翻訳協会/あめんどう/新日本聖書刊行会/お茶の水聖書学院(OBI)/日本国際ギデオン協会
| 日付 | すること |
|---|---|
| 10/18(日)23:59 | Teamsに提出:組織名/焦点の問い(1文)/情報源2件 |
| 10/21(水) | 第8週の授業で発表順と指定討論者を発表 |
| 10/27(火)23:59 | スライド(PDF)をTeamsに提出 |
| 10/28(水) | 発表。指定討論者は質問を一つと、最も説得的だった診断を一つ述べる |
生成AIの利用はシラバスの規定どおり。出典は必ず自分で確認して明示する。
2分、黙って考える。それから、リフレクションに書く。
何を信仰で決め、何を専門家の基準で決めるのか。
「聖なるもの」と「方法とするもの」の境目